わたしの好きな俳優

04 21, 2011

■ジェイソン・ロバーズ
「大統領の陰謀」に「ザ・ペーパー」に「マグノリア」。この人の出演作はほんとに面白い。センスを感じる。

名脇役であったロバーズにわたしが惚れ込んだきっかけは、大学にいるときに見た「裏街 太陽の天使」という映画。あまり知られていないけど、好きな映画の話になると必ず挙げる一本。蝋燭の灯に照らされた高級レストランで「懐中電灯くれよ」と言っちゃうロバーズが奔放で、明るくて、優しくて、なぜか泣けた。

その後デビュー作の「旅」を見て、包帯を巻かれながらユル・ブリンナーと話すシーンを見てすっかりファンになった。無骨な男の繊細な演技にまた泣かされた。

とはいっても「テキサスの五人の仲間」 のちゃらんぽらんな豪快さとか、「ニール・サイモンのキャッシュマン」での飄々としたロバーズが一番好きだけどね。怒ると怖いジジイであり、笑うと可愛いジイサンだった。
今でも、思い出すだけでニヤけそうな役者なんだ。



■ジョージ・ケネディー
子供の頃、テレビでよく見る「裸の銃を持つ男」でベサメムーチョなんて歌っている刑事が、こんなに素晴らしい役者だったことを分かっていただろうか。分かってなかっただろうなぁ。でも好きだったなぁ。

でかい、とにかくでっかい役者ケネディー。「シャレード」の登場シーン、ものすごい勢いで葬式に乗り込んでくるところは腹を抱えて笑った。短気で、無愛想で、回りくどいことが嫌い。ちょっとおバカなところがまたいいじゃないかと思った。

目に入れても痛くないほど大好きな映画「暴力脱獄」なんて常に画面から見切れているような印象がある。立ってるだけでスクリーンからはみ出しそうなのに、よく動きよく喋る。画面いっぱいに飛び回るケネディーを見て確信した。

カッコイイ人、うまい人、器用な人、それを支えるためには絶対に倒れない大きな柱が必要で、わたしはそういう役者こそ心の底から好きなんだって。



■ドナルド・オコナー
とある日曜の朝、テレビを付けるとミュージカル映画をやっていた。傘を持って踊るシーンが有名なやつだ。ちょっと苦手なタイプだけど、少しだけ見てみようかという気がした。テレビはピアノの上で飛び跳ね、人形とダンスするオコナーを映した。あれから十数年。現在わたしの部屋にはビング・クロスビーからエレノア・パウエル、ヴェラ・エレンなどのミュージカル映画が並んでいる。

ミュージカルを見るようになってから、わたしの映画人生はずっと楽しくなった。

スター。トリプルスレット。エンターテイナー。オコナーが出ていると映画に活力が溢れてくるし、どんな映画でも必ず自分だけにしかできない見せ場を作る。コミカルなナンバーをやらせたら右に出る者はいない。観客は「雨に唄えば」のコズモのように、床を転げまわりながら笑うしかない。

ほっんとに、楽しいんだよ。



■レイ・ミランド
かつて二枚目の大根役者と呼ばれた時期があったミランド。わたしは、とても素敵だと思う。愛嬌たっぷりで、ときに乱暴で、どうしようもなくロマンチック。乙女のように頬杖をついて一日中でも眺めていたい役者だ。

オスカーを貰った「失われた週末」で演じた自分に甘いアル中、「ダイヤルMを廻せ」での詰めの甘い旦那はどちらも素晴らしかった。二枚目なのにカッコ悪い。このカッコ悪さがミランドの本当の魅力でもある。人なら誰もが持つ浅はかさや弱さを、すんなりと見せてくれる。素直すぎて演技に見えないくらいだ。

「X線の目を持つ男」を見たとき、わたしは彼がキラキラした好青年を演じるラブコメディにばかり夢中になっていた。ショックで眩暈がした。子供の頃からB級スリラー好きだったわたしが珍しくも好きになった二枚目俳優は、実はその世界のプリンスでもあった。いい加減にしてくれ。まあ、フリッツ・ラングのホラー「恐怖省」に出ていると知ったときは狂喜乱舞したけど。



■オレグ・ヤンコフスキー
ああ、郷愁のヤンコフスキー。彼の演技は、見るというよりも見られているような気分にさせる。台詞なんかいらない。彼が「何か」を求めて歩き、じっと座り込み、ふと笑い、酒を煽れば素晴らしい映画になってしまうのだった。

絵画のように美しいアンドレイ・タルコフスキー映画、その常連である。絵画は見て楽しいけれど、映画はやっぱり経験して楽しいもの。ヤンコフスキー出ずっぱりの「ノスタルジア」は見ていて幸せだなと思った。一緒に旅をして過ごす。主人公と同じだけの、およそ120分ではなくて人生の分の「時間」を体験する。そうやって一人の観客でいられることが、こんなに凄いことなんだと気付かされた映画だった。

なんて言ってもね、主人公がロシアでスナッフフィルムを撮っていた連中に追いかけ回されるB級ホラー「ミュート・ウィットネス 殺しの撮影現場」も大好きだけど。どこかチャーミングな刑事役で出てきたりするから気が抜けないのよ、この渋いおじさんは。



■クリス・クーパー
初めてクリス・クーパーを知ったのは「真実の囁き」で、高校に入ってからだった。わたしは背中を丸めてじっと物思いに耽るクーパーを見て、かっこいい役者というものについて何て無知だったんだろうと頭を抱えた。上記のみなさん、ごめんなさいね。その後「メイトワン」を見てクーパーにも監督のジョン・セイルズにも、すっかり夢中になった。

枯れたように見えて、確かな生命力を感じる役者だ。「遠い空の向こうに」や、「アメリカン・ビューティー」で知名度を上げたときは嬉しかった。でもわたしは優しそうでいて、どこかギスギスしているときの彼が何よりも好きだ。「真実の瞬間」でロバート・デ・ニーロとレストランで口論するシーンなんかが大好きだ。

彼を見ていると、ゲイリー・クーパーのようだと思うときがある。何もせず、ただ黙っているときが最も役者っぽいからだと思う。その体の内側から溢れるような演技は一体何なのだろうかと、わたしは見る度に引き付けられている。



■ジェフ・フェイヒー
レイ・ミランドのことをプリンスと言ったのは、B級のキングという称号はずっと昔にフェイヒーにあげてしまったからだ。すごく贔屓目に見て、彼の映画は目も当てられないものばかりだ。

わたしが海外移住して真っ先に買ったDVDのひとつは「ボディ・パーツ」だった。映画チャンネルで「ホワイトハンター ブラックハート」をやっと見れたときは感動した。すごく贔屓目に見て、わたしは狂ってると思う。

「マチェーテ」の感想でも馬鹿にした気がするけど、フェイヒーの演技は明らかにおかしい。表情がない。細々となんかやってる気もするが、基本はクリント・イーストウッドの下手な物真似を見ているようだ。

好きな俳優に入れておいてアレなんだけど、わたしはフェイヒーのことだけは誉めるつもりはない。言葉なんかで誉めるつもりはないし、この先フェイヒーのファンをやめるつもりも毛頭ない。

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「映画ってほんとにいいもんですね」

ひっそりと海外に暮らす二十代
許容範囲は広い
レイ・ミランドが好き

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