今日も映画はベリーナイス

04 30, 2012
Very Nice, Very Nice

ブログのタイトルを変更してから一年くらい経ったと思うのですが(あやふや)、その際にインスピレーションとなった映画の話をしていなかったので紹介。

カナダ国立映画制作庁のサイトに動画があります。
Very Nice, Very Nice

タイトルそのまま「Very Nice, Very Nice」というこの映画は、カナダの映画作家アーサー・リプセットが61年に制作した実験映画。知名度は高いので、大学の講習なんかで見せられたことがある人もいるかも。

実験映画というとちょっと理解し難い感じがしますが、これは彼の作品の中でも見やすい。

やはり実験映画を作るアーティストというのは映画自体にはどこか懐疑的なところがあって、映画とはいいつつ自分の作品を作ることが目的なんだと思います。

というのも、実験映画は従来の映画を壊すところから始まるわけですから、わたしのような無類の映画好きがキャッキャいいながら見るものではございません。

でもアニメスタジオでの勤務から始めて映画制作へと転向したリプセットはもとから芸術ではなくて映画の人。これは完全にわたしの推測なのですが、映画が好きな人独自のスタイルだよなぁと思うんです。


本作について簡単にいうと、白黒写真とラジオ音源とを組み合わせただけもの。

こういう手法を使った作品は結構あるんですけど、これは特に映画的なセンスをバシバシ感じるので大好きです。音の合わせ方、人物の見せ方、動かないしストーリーもないのに一本の映画を見ている気分になるんですよね。

何より、これだけ単純なことでも見ている人の心が動くという点で優れた映画だと思う。

簡単だけど手間暇かかってます。これに触発されて幾つか自分でも写真を撮るところから始めてビデオを作ってみましたが、コマ撮りアニメを作ったときと同じくらい楽しくて大変でした。


ちなみに、わたしが本作と出会ったのは数年前に地元の映画祭でリプセットのドキュメンタリーが上映されたとき。そのときはまだキューブリックがリプセット好きだったということを知らなかったので、映像を見ながらキューブリックみたいでいいなぁなんて思ってました。

ドキュメンタリーも面白かったけど上映前におまけで流してくれた本作が良くて、すぐにカナダ国立映画制作庁のビル(ここで制作されたものは無料で視聴できるようになっている)まで行ったり。

リプセットの日記

2010年に作られたアニメ「リプセットの日記」のDVDにも収録されていたので思わず購入。動画はいつでもサイトで見られますが、うちのテレビでゆっくり見られると格段にいい。

動画も全部で7分程度なので、暇なときに是非見てください。ほんとに面白いから。

ここまで言っておいてアレなんですが、映画のタイトルには句読点がついてるのにブログのタイトルにないのは、ただ間抜けな管理人が間違えただけです。だって本編のオープニングにはついてなかったんだもの。

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正式にはジェラード連邦保安官上級代理

04 25, 2012
ジョーンズ

ここ数年における
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」→「ノー・カントリー」→「キャプテン・アメリカ」
という波のせいで、最近トミー・リー・ジョーンズがかっこ良くてしょうがないです。

以前はわりとデニス・ホッパー的とでもいうのか、悪役界の宴会部長みたいになるのかなと思っていたときもありましたが、もっともっと熱いものになっていくようで目が離せません。

今、余生の楽しみを聞かれたら間違いなく「MIB3」と答える。



うちで入れてる映画チャンネル、やたら「逃亡者」をやってくれるのは嬉しいんだけど、なかなか「追跡者」と合わせてくれないのが難点です。この二作は、二つで一つだと思ってる。

「逃亡者」で主役に対する脅威として登場したのがジェラード保安官補

「追跡者」では主役に回った彼ですが、いつでも求めているものは正義ひとつ。

描かれるのは完璧なプロ根性と、ちょっとした個人的感情の揺れ。何があっても仕事はきっちりやる。立場が一転してもテーマはぶれないところが男前な映画です。

「スター・ウォーズ」の新旧三部作は気を利かせてセットにしてくれるのに、こういう系統の映画は盲点なのか。わたしはSWファンというわけではないし(唯一グリーバス将軍は好き)、比べるのは失礼かもしれませんが、SFとかホラー以外もシリーズで考えてくれると嬉しい。



「逃亡者」と「追跡者」で一番好きなところ、そして二作を続けて見たい一番の理由、それがジェラードと部下ニューマンの関係。ジョー・パントリアーノとの掛け合いもすごくいいんだけど、わたしが勧めたいのはニューマン。

順番に見ていくとニューマンの成長の度合いと、ジェラードの可愛がりっぷりがよく分かる。

逃亡者

一作目ではジェラードの頑固親父たる部分を強調するため、

新米ニューマンを人質にした被疑者を銃でぶち抜き、さらに後遺症が残るといわれたニューマンの耳に顔を寄せて「俺は取引はしない」と言いきる、超絶にカッコいいシーンがありました。

追跡者

それから5年後、ジャケットにださいTシャツというバリバリ現場向きな格好のニューマンは、いつのまにか先に体が動く熱血タイプになっていました。一作目で登場したときは

「ニューマン何してる」
「考えてます」
いいからコーヒー持ってこい。あとドーナツも

という粋な会話からだったのに、随分とデキる男になったなー。しかも微妙に似てきてる。ぼーっとしているようで実は機敏な二人が並んで座っていたりすると何故か笑えます。

呼ばれたときに無言で後ろにいるシーンも好き。この人たち大丈夫なの・・・という奴らが活躍するから面白いんですよ。

あと面白かったシーンが、場違いなロバート・ダウニー・Jrがチームに加わろうとしてジェラードに軽くあしらわれたときに「気に入られたね」というところ。大したことない台詞なんだけど、ちゃんと鍛えられてるなーという感じがする。

追跡者

しかし和気藹々としているかと思いきや、ニューマンはこの後ジュニアの毒牙にかかってしまうのでした・・・初めて見たときは、本当に、ショックだった!!

それでも一作目を見たわたしは知っている。冷徹そうに見えて内心はメラメラ燃えている男、それがジェラード。ここで彼に大きな希望を託す。やつをぶちのめしてしまえと。

コンマ一秒のあいだ感傷的になり、届いた情報に飛びつき、即座にオフィスを飛び出していく流れが素敵です。そして最終的にはペンペン草でも見るような目つきでジュニアと対峙しちゃうところがかっこいい。容赦ない。

冒頭とラスト、みんなで飲みに行く様子がちょっと泣けるので、二作目はミルクを飲みながら見るのが「おつ」じゃないかと思います。



あとニューマン役のトム・ウッドって他に見ないなと思っていたら、いた!

それもジョーンズが敵役の「沈黙の戦艦」で冷蔵庫に閉じ込められたスティーヴン・セガールを見張る兵士役。よく考えたらこれも「逃亡者」と同じアンドリュー・デイヴィス監督の作品でした。

当然セガールに冷蔵庫などというものが通用するわけはなく、ここでも可哀相な目に。でも、もしかするとこれを機にジェラード役もニューマン役も決まったのかもと思うと、なんだかいいなぁ。

うまく説明できないけど、映画と、キャラと、世界が一緒に成長していく感じ。
映画を見ることと見続けることの違いはそこでしょうか。

やっぱり映画って面白いなー

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サントラ四方山話

03 13, 2012
今回はスコアのみ。


「ボーン・コレクター」

「プランケット&マクレーン」などを手がけたクレッグ・アームストロングによる、ひんやり冷たくて張りつめたスコアが素敵な一枚。

映画の方は不満が残る出来だったものの、原作シリーズの大ファンであるわたしは本を読む際にかけることもしばしば。雨のニューヨークが目前に再現されるようなオーケストラの音色がなんともいい。お気に入りは12曲目の「Pier Pressure」と16曲目の「New York City」。

ちなみにサントラには入っていない主題歌「Don't Give Up」はピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュによるもので、こちらも良曲。終盤での使い方は唐突すぎて勿体なかったが、ピーター・ガブリエルの映画のラストを飾るに相応しい声に感嘆する。


「バリー・リンドン」

キューブリック作品の音楽といえば「時計じかけのオレンジ」などで知られるウェンディ・カーロスの印象が強いが、アルバムとして聴くならこれが一番好きかもしれない。

メインテーマとして使われているのはヘンデルの「サラバンド」で、演奏はナショナル・フィルハーモニック管弦楽団。風を切るような荘厳な音には、劇中でも幾度となく反応してしまう。他にもバッハにモーツァルトにシューベルトと、とにかく贅沢な選曲でちょっとしたコンピレーションを聴いている気分。

お気に入りは2曲目、フィドルを駆使したザ・チーフタンズの「アイルランドの女」。とにかく好きなので携帯に入れて持ち歩いてます。肌寒いときに聴くのがまたいいんだな。


「ヴァンパイア/最期の聖戦」

いつも自ら楽曲までお作りになるジョン・カーペンター御大の、気になる一枚。

コテコテ!とにかくコテコテな映画音楽。脳裏でジェームズ・ウッズがヘドバンをしかけてくるような曲ばかり。さすがに買って部屋で聴こうとは思わないが、御大の作品としては映画自体ちょっと変化球な印象があって面白い。

一枚丸々シンセなんてことも珍しくないカーペンター作品だが、これはブルース調からメロウな曲まであって様々なテイストが楽しめる。どれも紛れもなくカーペンター節だけど。

お気に入りは13曲目の「Farewell Slayer」と、冒頭の曲をミックスした16曲目の「Padre's Wood」かな。歌をのせたくなる綺麗なメロディもあるし、どうせなら特別版のサントラには29曲も入っている名作「ゼイリブ」くらい力を入れてほしかった。


「ロスト・チルドレン」

リンチ作品でお馴染みのアンジェロ・バダラメンティが誘う、ゆるやかな音楽の旅。ジュネ映画と同じく、彼の音楽は聴いているうちに、帰って来れない何処かへ飛んでいってしまいそうになる。

双子の回す機械から流れてくる「L'Execution」のインパクトは絶大で、その昔なんとか耳コピしようと頑張った覚えがある。もちろん誰かを洗脳するのに使おうと思っていたわけだが。

バダラメンティというと「ツイン・ピークス」のような優しいのに極限まで不安にさせるようなメロディが印象深い。「歌は私の悲しい玩具である」とは石川啄木の言葉であるが、バダラメンティの音楽もそんな感じだ。

それが仏映画特有の懐古趣味に触れて、クラシック音楽のように広がっているのが素敵だ。赤い縞のセーターでも着て、散歩に行ってみようかという気分になる。


「ゲット・ショーティ」

「ダウン・バイ・ロー」などジャームッシュ映画では俳優としても知られるジョン・ルーリーが手がけた名サントラ。

自らのスタイルをフェイクジャズと呼んでいるらしいが、そんなことはさっきウィキを見るまで知らなかった。個人的にはとにかく何でもできる人という印象だ。多分フライパンひとつでも彼が叩けば面白いだろう。

とりあえずどの曲も大好きでよく聴いているが「Chilli Hot」と「Stink」は特に中毒性が高い。かっこよくてスムーズ、まるで劇中のジョン・トラボルタそのものだ。

残念ながらサントラには入っていないが、終盤の空港で使われる音楽もいい。わたしの母はあの曲を10年くらい着メロとして使っていて、携帯がなるたびに「何の音ですか」と言われていた。おかげで周囲に「ゲット・ショーティ」を知らない人はいなくなったが。

ちなみにわたしはと言えば、ことある事に「映画館を買ってキャグニーの映画をやるんだ」という冒頭のトラボルタの台詞を使って回っている。親子揃っていい迷惑だ。

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