わたしの好きなキャラクター
01 17, 2012

■ ジャック・クルーゾー 「ピンクの豹」他
名キャラと呼ばれるにはどれだけのものが必要か、ピーター・セラーズを見ればよく分かる。
おっとりとした雰囲気とは裏腹に、使用人のケイトーといたるところで決闘する勝手さ、捜査中も全く人の話を聞かない無神経さが目立つダメ警部。「ピンクの豹」でおバカキャラとして活躍した後「暗闇でドッキリ」から始まるシリーズで主役を担い、まさにセラーズの当たり役となった。
破天荒であればあるほど愛される人であり、ドタバタも天才的だが、わたしとしては「ピンク・パンサー2」の冒頭でチンパンジーを取りしまおうとする場面のように、ちょこちょこと挟んでくる自然なボケが大好きだ。
名キャラと呼ばれるにはどれだけのものが必要か。彼の場合、生真面目な顔をしてバカを言うだけでよかった。どうしようもなくアホだが最高にチャーミングなキャラである。

■ T-1000 「ターミネーター2」
警官ルックから冷たい質感までが驚くほど似合う。おそらく世界に一人の「液体派」俳優、ロバート・パトリックの個性がいかんなく発散されたキャラであり、未だに彼を見ているとふとした瞬間にグニョッと曲がりそうな気がしてならない。
こいつの何が凄いかと言えば、やはり動作である。歩いているだけで完璧な殺意を感じさせる。しかも、ちゃんと瞬きもしていなければ脈もなさそうに見えてくるから面白い。
監督のジェームズ・キャメロンが「猫のよう」と表現していた通り、しなやかなアクションで観客の恐怖心を煽り、女子供を追いつめる様子は小鳥を捕まえて勝ち誇った猫そのものだ。猫のような耳もいい。この耳がないとただのオトコマエである。それではつまらない。
心底気持ち悪い存在だが、液体化して通り抜けた格子に銃が引っかかったりと、機械的な仕草で笑わせてくれる。精巧なロボットほど転ぶと面白いわけで、生命を持たないキャラを魅力的に見せる上でのシュールさが絶妙だ。

■ マージ・ガンダーソン 「ファーゴ」
この映画を見てからというもの、面白い女性キャラクターというと彼女が真っ先に出てくるようになってしまった。魅力的なヒロインは数多くいるにも関わらず、ゆったりとした田舎者のインパクトは絶大だった。
ろくな奴が出てこないうえに感情移入しにくい映画だが、彼女が出てきた瞬間「しっくり」くるようになるから不思議だ。雪の中、出産間近のお腹を抱えて捜査にあたる女性署長といえば危なっかしく聞こえるが、実際はとても安心して見ていられる。
はっきりと物を言う強さと、迷惑な同級生にも付き合ってやる純粋さを持ち合わせた女性。金に振り回されて見る影もなくなっていく男たちとの差は歴然である。勝負は初めからついているのだ。お金より大事なものがあるのよ、と彼女に言われたときのピーター・ストーメアも素晴らしかった。
そして何より、ごくごく普通の人であることが魅力になっている。普通の人の魅力とは、この映画なりに言うと、3セント切手の大切さを知っていることだ。アクの強い者ばかり揃ったコーエン作品の中でも屈指のキャラである。

■ フェリックス&オスカー 「おかしな二人」
もちろん68年に作られた映画のことだが、くしゃくしゃになったウォルター・マッソーが可愛すぎるので画像はこれにしておく。昔は刑事物などにもよく出ていたが、はっきり言って彼の黄金期は60を過ぎてからだ。下品な冗談を言うほど面白かった。
几帳面なフェリックスを器用に演じるジャック・レモンと、ずぼらなオスカーがハマリ役のマッソーの掛け合いは最高で、できることならビン詰めにして部屋に置きたいくらいだ。レストランでのシーンなど何度見ても腹がよじれる。
とにかく一緒にいることが楽しい。70過ぎてから作られた続編、そして「ラブリー・オールドメン」などの他作品でも相変わらずキャッキャしている二人を見て、とても幸せな気分になった。共にキャラクターを超越したキャラクターだった。正直なところ、彼らがコンビを組んでいれば何でもよくなってしまう。
映画の中では仲の悪さが売りの二人だが、どこかお互いに「こいつには適わない」と思っていそうなところがまたいいじゃないか。アドリブも満載な二人の作品は、いつまでもおかしなまま保存していきたい。





